小説
漆黒の天使 偽者 

漆黒の天使 偽者

第1章


―なんだろうこの感覚は。

―じわじわと感じてくる

―見に覚えがあるような

―痛み。

―体が動かない。

―何・・・が

―一体、何が・・・?



夢を見た。
変な夢だった。
はっきりと覚えていないけど、変な夢だった気がする。
私は桜井 美和(さくらい みわ)。
中3です。
もうすぐ受験だっていうのに、最近体が重い。
「きっと勉強したりして疲れてるのよ。」
母は言うが、その声には温かみがない。
・・・たぶん、私が母の実の子供ではないからだ。
母と父は、つい最近に再婚した。
実の母は、私を置いていってしまった。
その時の私は、とくに悲しくもなかった。
だって私は

記憶喪失者だから。

どうして記憶喪失になったのかも知らない。
病院のベットで目が覚めたときには、もう記憶が無かった・・らしい。
母と父が離婚して、父が再婚したのは、そのあとだったから、思い出の無いまま家族はバラバラになった。

そして
新しい母と一緒にすむことになった。
新しい母は、私のことが嫌いなのか、まったく自分から話しかけてこない。
父は、何故か私によそよそしい。
でも、とくに悲しかったりはしない。
いつでも心は空っぽのまま。

―まただ。

―この感じ。

―何

―何なの・・・?

―誰か

―教えて・・・・!!

はっと目覚めて気がついた。

「夢・・・・・?」

リアルだった。
息は乱れ、冷や汗がたれている。

とても怖い夢だったが、思い出せない。

次の日

「お・・・母・・さん。」

あまり話したことのない「お母さん」に話しかけた。

「・・・・何?」

明らかに不機嫌そうだった。
『怖い』

―またあの感情がよみがえってきた。

夢を見て、覚めたときと同じ感情。
どうして・・・?

「用事は何?さっさと言ってくれない?」

「お母さん」は今にも爆発しそうな勢いだった。

「あ・・・ううん・・何でも・・・ない・・よ。」

作り笑い。
「お母さん」は呆れた睨みを返して、それ以外話しかけてこなかった。

―嫌だ。

―ゆるして

―なんて言いたくない。

―だって私は悪くない!

―いつか必ず復習してやる。

―いつか・・・

―必ず・・・・・!

「嫌あああぁぁっ!?」
また
夢だった。
どうやら自分の部屋の机で寝てしまったらしい。

それにしても、どうしてそんな夢ばかり見るのかな・・?

もしかして、私が記憶喪失になったのと関係が・・・ある?

誰かに聞きたい。
けれど家の中には聞ける人なんていない。
学校にも、記憶が戻るまで行けない。

つまり私は、何も解らない、自分の事さえ・・・・・・。




さっき寝てしまったせいか、なかなか夜になっても眠れない。

ぼーっ・・とベットに入っていた。

うとうとし始めて、やがて私は、眠りに付いた。



―美和!

―覚えてる?私だよ!

誰?

―もー、花奈子だよお!

花・・奈子?

―忘れちゃったの?

・・・・ごめん。

―心友だった

―加奈子だよー。

―ま いーやしょうがないか。

うん・・・・。

―でも

―これだけは

―忘れたなんて

―言わせないからね。

これは夢だ。

いつもの変な夢だ。

目の前にいる「加奈子」が包丁を持っている。
何をする気?

―死ね!

いきなり頭から刺された。

ひっ・・・!?

声にならない悲鳴。

頭から血はだらだらと落ちてくるのに、生きている。

やっぱり、夢・・・?

もういやだ

開放されたい

はじめて

そう

思った。

第1章 END



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