篠沢一男（しのざわかずお 1951年3月13日生）［放火殺人犯］
栃木県生まれ。高校中退後、関西の蕎麦屋に就職。その後、地元に戻り父親の援助でうどん屋を開業したが、経営に行き詰まり廃業し、料理店に勤務するも長続きはしなかった。事件を起こす頃には、実体のない産業廃棄物処理会社相談役を名乗るだけで事実上無職であった。父親の脛をかじって外車を乗り回し、安定した収入がないにもかかわらず、高級ブランド品を購入したり愛人を囲ったりする生活を続け、パチンコ等のギャンブルにのめりこみ、多額の借金を抱え返済に行き詰っていた。
篠沢は1998年以降、宝石店ジュエリーツツミ宇都宮店に来店し、宝飾品の購入・貴金属の加工等の取引を行っており、店長や店員らと面識があった。2000年5月29日、篠沢は同店に来店し8000万円の取引を求めたが、ツツミ本社は篠沢の身元に不審を感じ（篠沢がいう産業廃棄物処理会社の実体が無かったため）、取引に応じないよう指示したため破談となった。同年6月1日、篠沢は再び来店し、5月のことについて謝罪し、後日商品を購入する旨を伝えた。
2000年6月11日午後5時すぎ、篠沢はガソリンを入れたブランドバッグを持って宝石店に入店、バッグの中に現金で1億5千万円を持ってきたので、希望する宝飾品を売ってほしいと店長（当時49歳）に伝えた。店長は、今回は全額現金払いをするという篠沢の言葉を信じたため、商談が成立した。店長は希望する宝飾品を揃えるのに時間がかかるため、閉店後に再度来店するよう篠沢に伝えた。この間、従業員は近郊のツツミ系列店および近隣の時計店から商品を用意し、本社には午後7時半の閉店後ミーティングがあると連絡した。午後7時30分、篠沢は再度来店し希望する宝飾品を確認した。午後9時50分、ツツミ本社からの最後の電話に対し、従業員は間もなく取引が終了すると答え、問題がある様子はなかったという。篠沢は「清算をするから」等と言葉巧みに店長と店員ら（当時51歳が2名、41歳、24歳、22歳、店長も含め全員女性）を一箇所に集めると、篠沢は態度を豹変し刃物を突きつけて従業員を脅した。店長を脅迫し、他の店員の両手を篠沢が事前に用意した粘着テープで縛らせた。篠沢は、店長の両手両足および店員の両足をテープで縛り、さらに全員の目にハンカチを当てテープを巻き付けて目隠しをした。全員を休憩室に閉じ込め、店員の足下および1名の上半身にガソリンをかけ、火をつけて逃走。火災は翌日の午前0時15分頃鎮火されたが現場から完全に炭化した6体の焼死体が発見された。死因は火傷死2名、焼死4名。
ツツミが持っていた不審者リストや店内の防犯ビデオ等の映像等が有力な証拠となり、さらに自らの車を東武宇都宮駅近くの駐車場に止めていたことが判明したため捜査員が張り込んでいたところ、翌日正午ごろに篠沢が車を取りに駐車場に現れたため任意同行し、強盗殺人と放火の容疑で逮捕された。篠沢は取り調べに対し「女性店員だけの店を狙った」と話した。
裁判では現場の焼失・被害者遺体の損傷により、物的証拠が少なかったため、防犯カメラの映像証拠および自白の信憑性に重点が置かれた。篠沢は、強盗の事実は認めるが、「脅すつもりでライターの火を付けたところ、突然爆発した。殺すつもりはなかった」等と殺意を否認し、自白についても精神的動揺を理由に信用性が低いと主張した。 2002年3月19日、宇都宮地方裁判所は「凶悪、悪質で他に類をみない」と求刑通り死刑判決をする。2003年4月23日、東京高等裁判所は「犯罪史上まれにみる凶悪な事件」として控訴を棄却し、2007年2月20日、最高裁は「冷酷、残虐極まりなく、最愛の母、妻、娘を突然奪われた遺族の処罰感情は非常に厳しい」と上告を棄却して、篠沢の死刑が確定した。確定死刑囚として東京拘置所に収監された篠沢は、2008年に死刑廃止団体が行ったアンケートに「死刑になるのか、きもちの整理がつきません。死刑とはざんこくなものです」と答えた。
2010年7月28日、千葉景子法務大臣立会いのもと、篠沢の死刑が執行された。この日は、前年に死刑が執行されて以来、ちょうど1年が経過した日であり、民主党政権下で初の執行であった。また、千葉は死刑廃止論者かつ直前の参議院選挙で落選していたため、大きな波紋を呼んだ。
2010年7月28日死去(享年59)
＜＜重要なお知らせ＞＞
@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
友達に教える
[編集]
無料ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞ作成は@peps!