沢村栄治（さわむらえいじ 1917年2月1日生）［プロ野球選手］
三重県出身。京都商業学校（現在の京都学園高等学校）の投手として1933年春、1934年春・夏の高校野球全国大会に出場。1試合23奪三振を記録するなど、才能の片鱗を見せた。1934年の夏の大会終了後に京都商業を中退して、読売新聞社主催による日米野球の全日本チームに参戦。5試合に登板（4先発）したが、中でも11月20日、静岡県草薙球場で開催された試合では、7回裏にルー・ゲーリッグにソロ本塁打を浴びたのみで、メジャーリーグ選抜チームを1失点9奪三振と抑えた（試合は0対1で惜敗）。これ以外の4試合では滅多打ちにあったが、この年の日本選抜対メジャーリーグ選抜の試合が日本の0勝16敗に終わるなど、当時の日米の差は非常に大きかったため、この快投は現在でも日本で語り草となっている。
1934年の暮れ、全日本チームを基礎としたプロ野球チーム「大日本東京野球倶楽部」（後・東京巨人軍、現・読売ジャイアンツ）の結成に参加した。学校を中退してプロ入りしたのは、野球部内の他の生徒による下級生への暴行事件が明るみに出て、連帯責任で甲子園出場が絶望的になったためであった。等持院住職の栂道節が、同年大日本東京野球倶楽部専務取締役に就任する市岡忠男に澤村を紹介した。
プロ野球リーグ開始の1936年秋、史上初のノーヒットノーランを達成。阪神との優勝決定戦では3連投し、巨人に初の優勝をもたらした。1937年春には24勝・防御率0.81の成績を残してプロ野球史上初となるMVPに選出された。更に2度目のノーヒットノーランも記録するなど、黎明期の巨人・日本プロ野球界を代表する快速球投手として名を馳せた。特に阪神の豪打者・景浦將とはライバルであり、名勝負を繰り広げてファンを沸かせた。しかし、徴兵によって1938年から1940年途中までのシーズンを棒に振っただけでなく、手榴弾を投げたことなどから肩を痛めたとされる。また、戦闘中、左手を銃弾貫通による負傷、さらにマラリアにも感染した。復帰後は何度か球場で倒れたり、オーバースローからの速球が投げられなくなったりしたものの、サイドスローによるコントロールと変化球主体の巧みなピッチングを披露し、3度目のノーヒットノーランを達成している。
その後、2度目の徴兵で1941年終盤から1942年のシーズンを棒に振り、さらにはサイドスローで投げることもできなくなり、肩に負担の少ないアンダースローに転向。しかし、度重なる徴兵によって澤村の身体はぼろぼろになっており、コントロールをも失っていたため、好成績を残すことができず1943年シーズンの出場はわずかであった。投手としては、1943年7月6日の対阪神戦の出場が最後で、3回5失点で降板となった。公式戦最後の出場は、同年10月24日、代打での三邪飛であった。1944年シーズン開始前に澤村は巨人から解雇された。澤村本人は移籍の希望を持っていたが、巨人軍の鈴木惣太郎から「澤村は、巨人の澤村で終わるべきだ」と諭されて現役引退となった。その後、南海軍から入団の誘いがあったが、澤村はこれを断っている。
現役引退後、1944年10月2日に3度目の徴兵となる。同12月2日、陸軍伍長として乗船していた輸送船が屋久島沖西方の東シナ海でアメリカ合衆国潜水艦シーデビルにより撃沈され、屋久島沖西方にて戦死。職業野球通算63勝22敗、防御率1.74。戦死後の1947年7月9日、巨人は澤村の功績をたたえて背番号14番を日本プロ野球史上初の永久欠番に指定した。また、同年に澤村の功績と栄誉を称えて「沢村栄治賞」が設立された。1959年、野球殿堂入り。1966年6月25日、第27回戦没者叙勲により勲七等青色桐葉章追贈。
1944年12月2日死去(享年27)
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